1 派遣労働とは
派遣労働は、派遣労働者が派遣元と労働契約を結び、派遣先の指揮命令を受けて働く関係で、労働者派遣法(以下「派遣法」)や、派遣元・派遣先指針が定められています。また、港湾運送業務、建設業務、警備業務、医療関係業務(例外あり)、弁護士・税理士等の業務は派遣事業を行うことはできません。
派遣労働には以下の特有の問題があります。
(1)就業条件等の明示
一般の労働者にも労働条件明示義務(労基法第15条)がありますが、派遣の場合は一般的な労働条件(仕事内容、就業期間、時給等)の他、指揮命令に関する事項、派遣元・派遣先責任者等を記載した書面の明示が必要です。
(2)派遣期間の制限
2015年9月30日以後に締結された派遣契約は、①派遣先同一事業所に派遣する場合及び、②同一派遣労働者の同一組織単位(課やグループ等)に派遣する場合は、限度が3年です。しかし、①について派遣先事業所の過半数労働組合の意見を聴く等の手続きをとり、②派遣労働者の勤務する組織単位を変えれば延長できる制度になっています(派遣法第40条の2)。
以下の方についての期間制限はありません。①無期雇用の派遣労働者、②60才以上の派遣労働者、③終期が明確な派遣労働者、④日数限定業務、⑤産前産後休業、育児休業・介護休業等の業務。
(3)事前面接等の禁止
一般の派遣は履歴書を求めたり、事前面接を行うことはできません(紹介予定派遣を除く。「打合せ」と称して事前面接を行なう場合がありますので注意が必要です。
2 偽装派遣
形式的には請負契約の体裁をとりながら、実際には注文主が直接労働者に指揮命令を行う事(いわゆる「偽装派遣」)は違法です。派遣社員かどうかは、契約書ではなく実態で判断されます。
3 無期雇用転換
また、2018年4月以降、2以上の有期雇用契約の通算期間が5年を超える労働者が申込みをした場合は、無期雇用に転換することができます(労働契約法第18条)
4 対応策
例えば、3ヶ月の契約期間内に派遣先から出勤しないように言われた場合でも、解雇に当たる不都合な理由がなければ、派遣元との契約は有効です。派遣労働者は、一般に残余期間の賃金補償や新しい仕事の紹介を求め、休業が発生した場合は休業手当(給料の6割以上。労働基準法第26条)を求めることは可能です。
派遣労働はかなり難しい問題を含んでいます。個人で対応できない場合は、既存の労働組合や連合東京(連合ユニオン東京)の団体交渉、東京労働局需給調整事業部(03-3452-1472〜4)、行政(東京都労働相談情報センター、東京労働局)のあっせん等の方法もあります。詳しくは、専門の各窓口にお尋ねください。
※ このホームページで派遣労働について詳細に説明することは困難です。主な事項のみ紹介しました。連合東京その他関係機関に電話等でご相談ください。
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